川口市A邸-18(雨樋)

A邸は設計を進める上で、いくつかポイントとなる点がありました。
引き渡しも済みましたので、少しずつご紹介していこうと思います。

屋根の断面形状が「へ」の字の招き屋根になっているため、雨が降ると
屋根の雨水は約8割が建物正面方向へ向かって流れます。
その雨水は軒樋(軒先の雨樋)から両側の竪樋(軒先から地上をつなぐ雨樋)
を伝って排水されます。

側面から見た外観

側面から見た外観

正面から見た外観

正面から見た外観

正面に向かって左側は一般的なパイプ状の竪樋ですが、
軒先まで袖壁を出しているので目立たなくなっています。
この壁はバルコニーの〈隣地からの目隠し〉や〈西日を遮る日除け〉にもなっています。
正面に向かって右側の竪樋は鎖樋です。鎖樋は日本で古くから使われており、
さまざまな形状がありますが、今回は小さなカップが連なったようなシンプルな形状のものを使用しています。

2階のバルコニーから鎖樋を見る

2階のバルコニーから鎖樋を見る

よく見ていただくと、軒樋が屋根のケラバ(屋根端部のうち、軒樋が付いていない側)
より突き出した先に鎖樋が垂れ下がっているのがお分かりになるかと思います。
これは、玄関周りの動線の邪魔にならないようにと、2階のバルコニーに干渉しないように配慮してあります。
また、鎖樋を建物本体から離すようにして、デザイン的にスッキリとした印象になることも意図しています。

鎖樋はパイプ状の竪樋とは違い、雨水が流れていく様子を目で見て・耳で聞いて楽しむことができます。
下の動画にて鎖樋の雰囲気を少し感じられるかと思います。是非、音と共にご覧ください。

鎖樋が雨水を地上へ導く様子は、見ていてとても心が落ち着きます。
機能的にはもちろん、デザイン的にも雰囲気をつくるうえでも、この鎖樋は大きな役割を担っていると考えています。

越澤

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