葛飾区T邸-2(是正工事完了)

本日、是正工事完了の確認をしました。
とても質の高い’職人さん達の工事’と’現場監督さんの工事管理’だったので、設計検査と施主検査の段階で、残工事も是正指摘事項もほとんどありませんでした。
という事で今日は、クリーニングが終わったきれいな家を鑑賞するために現場に行った感覚です。


現場では、この家を建てることを通して見えてくる「デザインと施工の関係」について監督さんと楽しく話しました。
一例をあげると、家には水平であるべきところと垂直であるべきところがあります。障子や戸襖などの建具が気持ちよく動いたり、隙間風を抑えたり、光を調節したりするためには、デザイン上の工夫が必要です。そしてそのデザインを絵空事に終わらせずに現場で実現するためには、一見派手で特殊な技術よりも丁寧な仕事が大切になります。水平と垂直をきちんとつくる事も、その丁寧さを求められる仕事の一つです。


家の水平と垂直をあるべき姿にするために、監督さんは着工してから何度も墨出しを繰り返してきました。物を作る時には、あちらを触るとこちらが動くという事が頻繁に起こります。その度に’そこ’に手を入れて水平と垂直を維持するようにします。大工さんも常に目と手で水平と垂直を追い、監督さんと’そこ’を修正をしていきます。「水平と垂直が多少くるっていても支障がないような’逃げのあるデザイン’にする事も大切」という考え方もあるのですが、監督さんと職人さんがそんな’逃げのあるデザイン’に頼りすぎると、結局は気持ちよく使えない建具になってしまう事が多いように思います。


そういった例も含めて監督さんといろいろと話をして、「何事も基本を大切にしたい」とあらためて思いました。
私が建築家としてこの家の現場監理をしていく中で、他にもいろいろと監督さんや職人さんの知恵をかりながら工夫をした事が多くあります。
この家をつくる過程についてブログに書くことをせずに来ましたが、そういった工夫なども含めて’完成から着工までをさかのぼる形’でまとめていきたいと考えています。

福島

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