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「江戸川区K邸」内覧会のご案内

私達の設計監理による住宅が完成します。お施主様のご厚意により、内覧会を開催する事になりました。

木の質感を活かした「都市型狭小住宅」です。「アラワシ梁の天井」「和紙の壁」「杉板の床」による内部空間は、軽やかでやさしい印象になりました。

「杉板縦張り」の外壁は、軽やかさと共に渋さを感じさせる端正な表情です。

この機会にご覧いただきたく、ご案内申し上げます。

□設計・監理:スタジオ・スペース・クラフト 福島慶太・遠山麻子

□施工:ASJ東京東スタジオ[山庄建設株式会社]

□内覧会日時:

2016年10月8日(土) 11:00~17:00      10月9日(日) 11:00~17:00

見学をご希望の方に、詳しいご案内をお送りします。スタジオ・スペース・クラフトまで、メールまたは電話もしくはホームページの「連絡先メールによるお問い合わせはこちら」からご連絡ください。

TEL 03-3470-3516
E-mail
studiospacecraft@jasmine.ocn.ne.jp
URL
studiospacecraft.com

担当:福島慶太 遠山麻子

江戸川区K邸-17(仕上工事・内部仮設足場設置)

いよいよ仕上げ工事です。

外部足場を外すとすぐに、内部足場を組みました。K邸には、広さ八畳ほどの吹抜けがあります。この吹き抜け周りに壁紙を張り塗装をして設備を設置するために、内部足場を組みました。なかなか無骨な印象で頑丈なものです。

内部足場を組む前に、壁や天井の下地になる石膏ボードや合板は全て張り終えています。下地工事が終わると同時に足場が組まれたので、仕上げされていない内部空間を感じられるのは少しの間だけです。

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内部足場がない部屋では、仕上前の内部空間を感じられます

これから仕上げ工事が終わるまで、家の中は空間構成もわからない状態が続きます。外部足場を外した時のように、内部足場を外す時も「新鮮な気持ち」でK邸を見る事になると思います。完成形を緻密にイメージしながら設計と工事監理をしてはいるものの、いざ目の前に「家」があらわれると胸躍るものがあります。

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二階から見おろした吹抜けに設けた内部足場

ここから先の仕上げ工事は、シンプルではあるもののやり直しが難しい作業になります。気持ちを新たにして、緊張感をもって取り組んでいこうと思います。

 

 

福島

江戸川区K邸-16(外部仮設足場撤去)

外部仮設足場が外れました。

建物の外部工事が終わり、仮設足場が外れました。
足場が外れると、おおまかな家のたたずまいが見えてきます。
家の外観は、シンプルな形に杉板の素材感が映える印象になったと思います。

こういった木を活かしたデザインでは、木の伸縮に対応できるように工夫をしたり、汚れや雨などによる木の劣化をおさえる工夫をしたりと、ちょっとしたコツが必要です。‘木の張り方’を検討し、‘水切りを入れる場所’や‘水切りの形’を検討し、‘外部仕上げにコーキングを使わない納まり’を検討し、もろもろ詳細に配慮をしています。そういった詳細には、現場監督さんの経験と知恵が大きく影響しました。そして、‘大工さんの杉板張りの精度’と‘板金屋さんの頑張り’があったから実現できたとも思います。

20160906_足場撤去 028

杉板の素材感は青空に映えます

外壁が仕上がってみると、やはり木は材木になっても生きているようです。外壁仕上げとして杉板を張るときには、板と板の間に1mm~2mmの隙間をあけるようにしています。しかし、大雨が降った時には杉板が水分を吸って膨らんで、この隙間がつまっていました。雨が止んでしばらくたつと、隙間は元の間隔に戻りました。これから冬の乾燥期に向かうにつれて杉板が乾燥していくので、板と板の隙間は大きくなっていきます。
設計段階で検討して現場でまとめ上げたさまざまな工夫が、こういった木の特質を活かすようにこれから効いてくると思います。

20160906_足場撤去 018

道路に面した家の南側には、これから木塀に囲まれた小さな庭を造ります。

家の外観があらわになると、近隣の風景が変わります。これから外構工事が進むにつれて、敷地前面の細い通りの雰囲気もだんだんと良くなっていくことを期待しています。

福島

江戸川区K邸-15(階段設置)

階段が設置されました。

側桁階段

できるだけ軽い印象のデザインにした側桁階段

床材に合わせて階段も杉板にしたので、足触りが柔らかくて気持ち良いです。

 

一階から二階に上がる階段は、吹抜けに設けています。階段の途中までは、蹴込み板無しの側桁階段です。段板と側桁は木製階段として使い勝手に支障が出ないぎりぎりまで部材寸法を小さくして、できるだけ軽い印象のデザインにしています。吹き抜けにさりげなくおかれたオブジェの様に見える事を意図した階段です。

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吹抜につきだした側桁階段

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吹抜から屋上まで

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踊り場まわりのルーバー(写真ではボードが置かれてルーバーは隠れています)

屋上に出るための踊場のまわりにはルーバーを設けました。二階から上の階段にはルーバー越しの独特の光が入ります。空間が上昇する印象をこの光がつくりだす事を期待しています。

階段を設置してみると、吹抜けの空間に上へと広がる印象が加わったように感じます。

吹き抜けまわりには、階段の他にも大きな空間を彩るデザインがこれから増えていきます。より居心地の良い雰囲気になるように、現場で丁寧に詳細をつめていこうと思います。

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吹抜に設置された一階から二階までの階段

福島

江戸川区K邸-14

外壁仕上げの杉板を張り終わりました。

大工さん1,5人で10日間かけて杉板を張りました。大工さん一人で張りはじめて、途中から大工さんがもう一人加わったので、1.5人で作業をしたとみています。

外壁の杉板を一階から張り始めたところ。杉板は一枚ずつ張ります。

外壁の杉板を一階から張り始めたところ。杉板は一枚ずつ張ります。

杉板を張る前に、‘外壁に出てくる設備の位置’と同時に‘杉板割付’を詳細に検討しました。割付というのは、‘仕上げ材同士の間隔’や‘どこを基準にして仕上げ材を張り始めるか’など、仕上げ材の配置のことを言います。杉板は夏の多湿な時期には膨らんで、冬の乾燥期には縮みます。上手く割付をしないと、杉板同士が干渉しあって割れたり、となりの杉板との隙間が大きくなってがたついたりします。そういったことも考慮に入れながら、割付をいろいろと検討しました。しかし、いざ杉板を張り始めてみると、想定していたよりも材の幅にばらつきがあり(杉板がそれぞれ微妙に寸法が違う)、丁寧に詳細に検討した割付通りには張れませんでした。こうなると、割付と同時に決めた‘設備位置’や‘板金位置’などに狂いが生じます。杉は自然素材なので工場製品のようにキッチリカッチリした寸法のものと同じようには扱えません。出来るかぎり周辺との取り合いに気を使いながら、全体のバランスを見て仕上ていくように、大工さんには多少の狂いは良しとして工事を進めてもらいました。大工さんが杉板一枚一枚の特徴を見ながら臨機応変に対応して、後で支障が出ないように杉板を張る事を優先します。自然素材であれば、すべての材の色が違うという事にもなります。K邸に使っている杉板は、保護用の塗装をしたものです。着色用の塗装ではないので、杉の自然な色むらや模様をそのまま反映した仕上げになります。1枚の材の中でも、上の部分と下の部分ではかなり色が違います。色のバランスについても、大工さんの感覚に頼りながら仕上ていく事になります。

杉板の幅や色などにはばらつきがあります。

杉板の幅や色などにはばらつきがあります。

自然素材ならではの雰囲気があります。

自然素材ならではの雰囲気があります。

 

杉板を張り終えてみると、予想通りに外壁がとても良い雰囲気になりました。‘軽さ’と‘渋さ’と‘端正さ’を感じさせる少し‘ロマンチック’な佇まいになると思います。足場を外して家の姿がはっきりと見えるようになれば、K邸のデザインが周辺の風景を良くするだろうと期待しています。

福島

江戸川区K邸-10(木製サッシ)

木製サッシをいれました。

木製玄関ドア搬入

室内に搬入された木製玄関ドア

 

K邸の南側外壁につく外部建具はすべて木製で、計三か所です。 リビングに面した‘一階のはき出し窓’と‘吹抜けのFIX窓’の二ヶ所が木製サッシで、‘玄関ドア’も木製です。K邸に設ける窓のうち、大きな窓はこの二ヶ所の木製サッシのみとなります。他の窓はすべて小さなアルミサッシです。木製サッシは断熱性能に優れており、窓枠の結露の心配などもないとされています。設計の初期には全ての窓を木製サッシで検討していたのですが、「木製サッシはアルミサッシより割高で、全ての窓への採用は難しい。」と判断して、大きな窓のみ木製サッシとしました。性能上もデザイン上も、最も有効に木製サッシの特徴を活かせる窓に採用しました。

木製サッシ設置

リビングに設置された木製サッシ(一階は掃出し窓、吹抜けはFIX窓)

 

現場に搬入された木製サッシと木製玄関ドアの質感はとても良い印象で、家の中でも外でも素敵な雰囲気をつくるために一役買ってくれると感じました。

木製玄関ドア設置

木製玄関ドア設置後の外観

これら木製外部建具については、ここからは養生が大切になってきます。建物内部の工事をするときに使う職人さんや資材の出入り口は、この木製サッシと木製玄関ドアになります。これからの工事で汚したり傷つけたりしないように、家が完成するまでしっかりとした養生をしなければなりません。木製サッシの他にも、K邸には家の完成までの養生に細心の注意を払う必要があるところが多いと言えます。工事には「物をつくるむずかしさ」の他に「養生のむずかしさ」や「つくった物を汚さないように傷つけないようにという姿勢を職人さんに持ち続けてもらうむずかしさ」というものもあると思います。そういった見方をしたときにも、K邸は難しい工事です。

福島

木製サッシリビング掃出し窓設置

木製サッシ(一階掃出し窓)設置後の外観

江戸川区K邸-8(屋上断熱)

屋上の床断熱をしました。

K邸は屋上がある木造二階建てです。切妻屋根や寄棟屋根のように勾配がある‘勾配屋根’とは区別をして‘陸屋根’といわれるほぼ平らな屋根になります。その平らな屋根が雨漏りしないように防水をして、その上を歩けるような屋上をつくります。

外の暑さや寒さが家の中におよぼす影響を少なくするために、木造住宅の屋根では小屋裏(屋根裏)に断熱層を設ける事が一般的だと思います。しかし、K邸は二階の天井をアラワシ梁にしているため、勾配屋根にあるような小屋裏がありません。‘水平構面(風や地震などにより水平にかかる力に耐える面)をつくるための梁上に張る24mm合板’と‘防水層をつくるための下地合板’の間に空間が出来るので、ここに断熱層を設ける事にしました。屋根の小屋裏にある断熱層というより、屋上の床下にある断熱層というイメージです。

K邸屋上納まり参考図

勾配屋根の断熱納まりと陸屋根(屋上)の断熱納まりの例

小屋裏と比較すると断熱層が薄くなるため、断熱材には薄くても高性能なフェノールフォームを入れました。雨水を屋上から排水するために、陸屋根にもほんの少し勾配があります。この少しの勾配の影響で、断熱材と防水下地合板の間にわずかな隙間ができます。夏には、この隙間にある空気が熱せられて断熱層の温度が上がります。熱くなった空気を外に逃がして断熱層の温度を調整するために、防水下地合板の下に屋外まで通る空気の逃げ道を設けました。

屋上断熱材

屋上の断熱材(フェノールフォーム)を施工中

断熱材を敷き込んだ後に防水層下地の合板を張ると、ほんの少し勾配がついた床面の完成です。この後はこの合板面に防水を施します。

屋上防水下地合板

屋上の防水下地合板を張ったところ(仮設屋根の下が屋上)

福島

江戸川区K邸-8(外壁下地)

外壁下地を張り終えました。

VSボード張り(内部)

VSボード張り(内部)

仮設足場に屋根をかけているので、梅雨時にもかかわらず、着々と工事が進んでいきます。

外壁下地は、地震や火災に強い‘厚さ12mmのVSボード’です。「透湿性もあるので壁の中が結露しない。」とうたわれている製品を選んでいます。結露がなければ壁の中にカビも生えにくく、壁の中にある断熱材の性能も維持されるという良さがあります。ボードを張り終えた家の姿は、なんとなく堅い殻をまとっているような印象です。カニのように殻で構造を成立させている感じとは違いますが、K邸の軸組の形や空間構成にはそう感じさせるものがあるのかもしれません。

アルミサッシ取付

アルミサッシ取付

外壁下地を張り終えると構造の検査をして、その後すぐにアルミサッシを取り付けました。同時進行で、給排水配管工事や電気配線工事も進めています。配管や配線のルートは設計段階で決めて、工事前に現場監督さんと作業工程の打合せをしておきます。軸組が出来上がったところで、設備業者さんと‘家の中の配管や配線について確認をする’ための打ち合わせをします。事前に設計図書を渡しているのですが、設備業者さんにとって設計図書の詳細を把握する事が難しい場合があります。現場で軸組を見ながら設備業者さんと打合せをすると、「予定とは違う方法による配線や配管の方がより良いのではないか。」という話になる事もあります。K邸では、エアコンの冷媒管のルートを上棟後に見直しました。

設備配管

設備配管

外壁下地で空間の輪郭がはっきりしてきた家の中にいると、もうなんとなく住めるような気分になります。

外壁下地と軸組

外壁下地と軸組

福島