江戸川区K邸-23(杉板外壁の経年変化_2)

今回お伺いした際に経年変化の進み具合が少し早いように感じたので、記録写真を元に外壁のこれまでの様子をまとめてみる事にしました。特に定点観測をしてきわけではないため、天候等の同一気象条件や撮影機材等の統一への配慮をした写真ではありません。それでも、記憶と印象をたどりながら、ある程度の情報を整理できると考えました。

① 杉板外壁の経年変化_2017年2月

① お引渡しから3カ月後(02)には、紫外線による変色で〈赤みが減り〉〈黄みが増した〉ように思います。
南側一階庇下の壁は、それほど変色していません。

② 杉板外壁の経年変化_2019年7月

② お引渡しから2年8カ月後(07)には、全体的に灰色を帯びています。まず紫外線の影響で溶出しやすくなった杉の色成分が雨水によって流れ出し、材が淡色化したと考えられます。その上に大気汚染物質等が付着したために、灰色を帯びたと思われます。
南側二階窓下の壁については、小庇と窓下の水切りが杉にあたる雨の量を抑えているために、他より色成分の溶出が遅くなっているのではないかと考えています。そのためにそれほど淡色化が進まない状態で大気汚染物質等が付着して、少し黒ずんだ茶色に見えるのだと思います。
南側一階庇下の壁については、紫外線による変色をしきらないうちに、大気汚染物質等が付着しているように思います。庇が深く雨がかりにもならないので、色成分も溶出せずにいるのだろうと考えています。焦げ茶色の壁といった印象です。

③ 杉板外壁の経年変化_2020年9月

③ 杉板外壁の経年変化_2022年3月

③ お引渡しから3年10カ月後(09)と5年4カ月後(2022.03)を見ると、大気汚染質等の付着が進んで黒みが増しているように思います。全体的に色ムラが目立つ印象です。
東側外壁の一階と二階の間に設けた水切りが杉にあたる雨の量を抑えているために、色成分の溶出が他よりも遅くなっているように思います。
南側一階庇下の壁については、それほど紫外線と雨による変色もないままに、大気汚染物質の付着が進んでいるように思われます。以前よりも濃い焦げ茶色になった印象です。

④ 杉板外壁の経年変化_2024年4月

④ お引き渡しから7年5カ月後(04)にあたる先月の時点では、全体としては色ムラがなくなってきて、大気汚染物質等の付着による黒色への変色が強くなっている印象です。
杉板表面の木目が浮き上がっていて、触ると浮造りのような凹凸を感じられます。
外壁面全てを目視で確認してみて、腐朽菌の影響は見受けられませんでした。届くところを手で押して状態を確かめると、しっかりとした感触できちんと乾燥しているのが分かります。
南側一階庇下の壁の一部をKさんが濡れた布で拭いたところ、付着していた大気汚染物質が落ちたらしく、黄みと少しの赤みが残る杉の質感があらわれました。

福島

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