タグ別アーカイブ: 障子

葛飾区K邸-1(竣工)

葛飾区K邸が竣工しました。
狭小二世帯住宅です。敷地周辺には畑やお寺などの緑地が点在していて、のんびりとした雰囲気が少しだけ残っています。

周辺環境を活かそうとした点と、先々の介護や相続に配慮をした点が、この家のあり方を決めたのではないかと考えています。

正面

前面道路から敷地を見ると、切妻屋根の細長い平屋が二つ並んで建っています。控えめな印象の佇まいになったと思います。家づくりの打合せをはじめた頃に、お施主さんに慎ましやかな印象を受けました。敷地周辺を見まわして、主張が強めのデザインは似つかわしくないと感じもしました。そういった経緯もあり、この家には抑え気味のデザインが相応しいという考えに至ります。

それぞれの棟に、高齢のお母さんと娘さんの一人暮らし世帯が入ります。二棟の間に‘アプローチ’と‘二世帯共有玄関’と‘テラス’が挟まれるような配置です。

アプローチ

玄関

テラス

外部から内部に至るまで、バリアフリーとしています。玄関前に段差をつくらないために‘アプローチ’を全面的に‘スロープ’としたところは、この家の特徴の一つです。‘アプローチ’を登ると‘二世帯共有玄関’になります。家に入る前から、この玄関の‘ガラスの引き違い戸’越しに裏の緑地が見えます。隣接する緑地を風景として取り込んでいるところも、家の特徴の一つです。

キッチンやダイニングからは、窓越しにのんびりとした風景を眺められます。この窓は景色を絵のように切り取る‘ピクチャーウィンドウ’としてデザインしました。

ピクチャーウィンドウ

ダイニングの‘天井までとどく障子’を開けると、三方向を壁に囲まれながら一方向を緑地に開いた‘テラス’に出ます。テラスの床はウッドデッキです。椅子に腰かけて‘テラス’で過ごすのも気持ちが良いと思います。

ダイニング

この‘テラス’を挟んで、母娘はお互いの様子を知ることも出来ます。高齢者が住む二世帯住宅において、世帯同士がこういった距離感で暮らす良さもあると考えました。

テラスからの眺め

敷地を中央から二分するようにして、世帯ごとに棟を分けた計画です。このような構成とした背景の一つに、相続に対する配慮があります。お施主さんの一人であるお母さんには、二人の娘さんがいらっしゃいます。もう一人のお施主さんと、その妹さんにあたる方です。この先で二人の娘さんが相続する事も考えて、売却や賃貸なども視野に入れて、様々な形で‘この先の選択肢’を増やす事を考えました。例えば、娘さんそれぞれが敷地ごと建物を一棟ずつ相続した上で「それぞれに住む」「妹さんが一棟を売却する」「妹さんが一棟を賃貸にする」等々。

今回の記事につかった写真は、私が記録用に撮影したものです。
暖かい季節になったら、カメラマンさんに写真を撮影してもらう予定です。それらの写真を用いながら、あらためて詳細について書くことが出来ればと考えています。

福島

葛飾区T邸-7(どのようなデザインにしたのか)

T邸のデザインには、Tさんの経験を拠り所としたところがあります。地域性もあってか、それらの経験にはある種の風情や懐かしさを感じます。そのデザインは、おのずと何処か日本的情緒をまとう事になりました。

‘赤い瓦屋根’に‘杉板鎧張りの外壁’と‘木製格子戸’が特徴の佇まいです。
Tさんが若い頃に住んだ家が‘赤い瓦屋根’で、とても好きだったそうです。計画当初からのご要望です。赤がほど良く印象に残るデザインとしました。
外壁については、私達が設計した‘江戸川区K邸’の杉板仕上げをTさんが気に入って下さったので、‘杉板鎧張りの外壁’を提案させていただきました。‘赤い瓦屋根’との相性も良いです。Tさんが幼い頃には、同様の杉の仕上げをよく目にしたのではないかと思います。「この地域に相応しい」との思いもありました。
‘木製格子戸’も、当初から強く要望されていました。ご実家に使われていたことがあるようです。これもまた、Tさんが幼い頃にはよく目にしたのではないかと思います。外観の要となっています。

敷目天井、唐松フローリング、漆喰壁

家の中に入ると、‘敷目天井’と‘唐松フローリング’が東西に延びる水平面を形成して、その二面に挟まれるように垂直面の‘漆喰壁’が立つ空間になります。ここに‘障子’と‘戸襖’と‘格子戸’を印象的に配置しています。Tさんがこれまで住んできた家にも‘敷目天井’はありました。これもやはりまた、Tさんが幼い頃にはよく目にしたのではないかと思います。小上がりになった‘和室’もあります。Tさんが子どもの頃に慣れ親しんだ三畳間です。伝統的な空間を意識しつつ、T邸に相応しい工夫を施しました。一階は自然素材でつくった優しい空間です。

アラワシ天井、唐松フローリング、壁紙

落ち着いた色と質感の‘壁紙’と白い無機質な‘引戸’

杉板の階段で二階に上がると、一階とは装いを変えた空間になります。杉の隅木と垂木を素材のまま見せて、上に向かって方向性を持った空間をつくります。この‘アラワシ天井’は、寄棟屋根の形に沿って家を覆います。床は一階と同じ‘唐松フローリング’にして、家全体のインテリアに統一感を持たせました。床と天井は木の素朴な表情で、そこに落ち着いた色と質感の‘壁紙’と白い無機質な‘引戸’を組み合わせて、しっとりとした趣のある空間にしました。

バルコニーのアラワシ天井

‘アラワシ天井’は、5畳ほどの大きさのバルコニーも覆います。家の内外にわたって傘がかかったようにも見えるデザインです。

福島

葛飾区 T 邸-4(どのように設計に取り組んだのか)

どのように設計に取り組んだのかを振り返ります。

Tさんは家への思い入れがとても強い方で、初めてお会いした時から何か訴えるような話しぶりだった事を覚えています。日々の生活で家に対して感じている事を、時に具体的に時に漠然と、熱心に話して下さいました。
打合せをする姿は‘よく目にする近頃の家に対しての違和感’や‘暮らしに向き合う姿勢’をご自身に問うているようでもありました。

一階のリビングダイニング

しばらくすると私は「Tさんが持つ家に対するイメージ’は、ご自身の体験からくるものだろう」と思うに至ります。
「朝起きたらまず窓を開ける」「決まった時間にぬか床を混ぜる」「季節に合った食事をする」「風呂上がりに体重を測る」そういった事を日々積み重ね、「家に帰ると‘赤い瓦屋根’が迎えてくれる」「‘格子戸の引違い戸’をあけて出入りする」「‘障子’で日射しや視線を調節する」「‘畳’に寝転がり休む」そういった事が日々を豊かにする。
それはTさんが「生まれ育った家」や「夫婦で暮らした家」や「子育てをしてきた家」で体験してきた‘暮らし方’や‘暮らしを支えるデザイン’なのだろうと考えるようになりました。
他にも「あまり明るい家は居心地がわるいのよね」「私が子供の頃は三畳の部屋を与えられていてね、サンジョッコって呼ばれたりしたのよ」「お日様が登る東の方角は、なんだかとても大切に感じるの」といった会話の中に、経験からくる思い入れを感じました。

二階の寝室

T邸の設計は、そういったバラバラに語られるイメージをまとめ上げるように進めたところがあります。まとめるためには軸となる何かが必要になります。それはある種の‘情緒’であったと言えるかもしれません。
江戸川が近く、朝晩と古寺の鐘の音が届く、そこはかとなく風情が残る地域に敷地はあります。この地域で生まれ育ったTさんの家には、それに相応しい佇まいがあると考えました。またそれを求められたようにも思います。私はTさんの経験の中から懐かしさを伴う‘情緒’を感じ取るようにして、この家を設計していたように思います。

福島

川口市A邸-17(引き渡し)

川口市A邸が完成し、引き渡しが無事に終わりました。
工事が終わった後、傷や汚れがないか・建具や設備は正常に動くかなどを
お施主様と共に確認をし、引き渡しとなります。
職人さんや工務店の方々のお陰で、とてもきれいな仕上がりでした。

お施主様は「優しい印象の美しい家になりましたね」と仰ってくださいました。
素敵なお施主様に巡り合えて、感謝の気持ちでいっぱいです。
この家で気持ち良く暮らしていただければ良いなあと思っています。

黒い鎖樋や階段手摺がアクセントの外観

黒い鎖樋や階段手摺がアクセントの外観

斜めに落ちる袖壁は隣地との視線を遮る

斜めに落ちる袖壁は隣地との視線を遮る

屋外とも緩やかにつながるリビング・ダイニング

屋外とも緩やかにつながるリビング・ダイニング

室内に差し込む日が木の陰を壁に映し出す

室内に差し込む日が木の陰を壁に映し出す

障子や間仕切り戸を閉めると落ち着いた雰囲気に

障子や間仕切り戸を閉めると落ち着いた雰囲気に

キッチン奥の窓からもきれいな緑が見える

キッチン奥の窓からもきれいな緑が見える

しばらくしたら工事完了直後の竣工写真をホームページに掲載しますので、
よろしければ是非ご覧ください。

越澤