タグ別アーカイブ: ヨーロッパ風デザイン

世田谷区K邸リフォーム-10(どのようにインテリアコーディネートをするのか ②)

ダイニングチェアについては、はじめから希望されているものがありました。デンマークの家具ブランドであるカール・ハンセン&サンから出ている椅子で、ハンスJ.ウェグナーがデザインをしたYチェアになります。座り心地が良く扱いも楽で、デンマークデザインの定番と言える椅子だと思います。
インテリアショップのhhstyleさんで、あらためて実際に座っていただきました。
ダイニングチェアの検討中に、お母様の体調が優れない時期がありました。その際に、心配された娘さんから「もっと軽い椅子のほうが良いのではないか」と相談を受ける事になります。Yチェアは程好い軽さで使いやすいのですが、他の定番と言える椅子の中には更に軽い椅子もあります。インテリアブランドのカッシーナ・イクスシーさんが扱っているものなので、ショールームで体験をして頂きました。
あれこれと検討を重ねた末に、当初から希望されていたYチェアを選ぶ事となりました。いろいろな姿勢で長時間くつろいで過ごせるように造られており、そういった使い方が反映された形はとても美しく魅力的です。
木種と塗装色と座面高さを決めて、hhstyleさんに手配をお願いしました。

ダイニングからのキッチンの眺め

ダイニングテーブルについては、天板を石にしたいという要望がありました。「水が沁みない素材で、硬くて平滑な一枚物が良い」との考えから、「石の天板が良いのではないか」という結論に至ったそうです。希望に沿えるものは既製品にはなかなかありません。アンティーク家具にいくつか見受けられたのですが、寸法や使い勝手などの条件に合いませんでした。製作する事も考えてはみましたが、検討を重ねて「性能と価格が共に現実的ではない」と判断をしました。そこで、素材を変えて条件を満たすものを探す事にします。ガラスや金属の天板の肌触りは、Kさん御家族の好みではないという事でした。考えた末に、インテリアブランドのカッシーナ・イクスシーさんから出ているダイニングテーブルのナインテーブルを選ぶ事となります。その天板の質感は独特で、アクリルウレタン樹脂とミネラル素材を混ぜ合わせたものを左官で仕上げています。シンプルで創造的なデザインの素敵なテーブルだと思います。

キッチンからのダイニングの眺め

福島

世田谷区K邸リフォーム-9(どのようにインテリアコーディネートをするのか ①)

リフォーム案を検討し始めた頃から、インテリアコーディネートのイメージについて伺う事が多かったように思います。
インテリアデザインを進めながら、まずは要望に合った家具や照明器具を思い起こし、次に他の候補がないかとインターネットで調べます。いくつか選んで提案をして、打合せをしながら候補を絞ります。その後にショールームで現物を確認して、インテリアコーディネートを決める流れです。

リビングのレースカーテンと影

カーテンについては、スイスのファブリックブランドであるフィスバさんのものを希望されていました。インテリアデザインを検討する中で、漠然と青など寒色系のカーテンが良いのではないかという話しになります。ホームページで目星をつけてからショールームに行き、いろいろなカーテンを眺めてみました。フィスバさんは親身になって相談にのってくれるので、楽しく前向きに検討が進みます。まずはリビング・ダイニング用に、刺繡が綺麗な〈藍色〉のレースカーテンを選びました。それに合わせてドレープカーテンは光沢のある〈水色〉にしました。娘さんは、入り口近くに展示してあった〈焦げ茶色と白色のグラデーション〉が美しいレースカーテンに一目惚れをします。夫婦の寝室に合いそうだという話しになりました。ドレープカーテンはアクセントクロスの色として考えていた〈浅紫色〉に合わせました。
レースカーテンの検討では、柄の位置を見て生地の使う範囲を決めていきます。施工済みの窓の位置を娘さんご夫婦に現場で確認していただいた後に、改めてショールームを訪れて加工寸法を決めました。気になるラグやクッションなどもあり、その後も数回にわたってショールームを訪ねる事になります。

寝室のカーテン

ソファについては、まずカウチソファの使用を提案しました。リビングをくつろげる空間にしたいと考えていたので、寝そべりながら使えるカウチソファが適しているように思えました。
娘さんは、忙しい仕事の合間を縫って家具ブランドのAREAさんに足を運び、気に入ったものを見つけました。変形したL字型の革製カウチソファです。私からL字型のものをいくつか提案していたのですが、より個性的でくつろいだ印象の崩した形を選ばれました。
カウチソファはある意味で場所をとるのですが、変形したL字型となると更に置き方に制約が出てくる事が考えられます。後日、私もAREAさんの店舗に何度か同行させていただきました。改めて店舗で寸法や造りを確認して、カウチソファの配置を再検討しました。娘さんは、革を好きな色に染められるところにも魅力を感じていらっしゃったようです。ソファの色決めの時点で、すでにリビング・ダイニングは寒色を活かしたインテリアにする方針としています。娘さんはご自身で色見本帳を購入して、青系の中から色を吟味して選ばれました。

変形カウチソファとコーヒーテーブル

ソファが変形したL字型となると、それに合わせるコーヒーテーブルの形に制約が出てきます。円形や丸みを帯びた三角形といった天板を使う事で、ソファに対する納まりを良くするように考えました。いくつか提案をしたのですが、なかなかご納得いただけません。ある日、娘さんから「インテリアショップのhhstyleさんで、ノグチテーブルを購入しました」と連絡を頂きました。ノグチテーブルは、ヴィトラ社から出ているイサム・ノグチによるデザインのコーヒーテーブルです。曲線で構成された木の脚部に丸みを帯びた三角形のガラス天板を載せた構成になります。ガラス天板はKさん御家族の好みではないと思っていた等もあって、それまでの提案から外していました。娘さんは、店頭に飾ってあったノグチテーブルを見て、直ぐに購入を決めたそうです。きっとその美しい姿を見て、素材の好みを超えて惹かれたのではないかと想像しています。

福島