この敷地に建っていた二階建ての古い一軒家で、お母様が一人暮らしをしていました。娘さんが同居を決めたのを機に、家を建て替える事となります。
まずは御二人に相応しい‘同居のあり方’を模索していきます。私が初めて打合せをさせて頂いた時には、既に母娘それぞれが独立して暮らす二世帯住宅のイメージを持っていらっしゃいました。二人とも一人暮らしに馴染みがあるし、自分の空間で好きに暮らすのが快適そうです。検討案は単身者用の共同住宅に近いイメージになっていきます。いくつかの案を比較しながら、それぞれの世帯の距離感を探ります。できるだけ広い家に住むのであれば、二階建て案が適していると考えられます。お母様の体力を考慮に入れると、二階建ての場合は娘さんが上階に住むのが良さそうです。とは言え、娘さんにとっても二階に上がる事はそれなりに大変ではあります。それに階ごとに世帯をわけると、母娘の距離が遠い印象もあります。母娘の年齢や単身で一世帯という条件を考えると、常にお互いの気配を感じられるようにしたいし、声が届くようにはしたいところです。そこで、平屋の二世帯住宅の可能性を探る事になりました。
敷地条件を考えると、一世帯当たりの面積に余裕はありません。おのずと単身世帯に最低限必要な面積を考えながらの設計となります。その上で二世帯が付かず離れずのプランを検討していきます。結果的に、それぞれの世帯を一軒家と見なした案に落ち着きました。二つの家がテラスやアプローチを挟んで独立する配置にして、それを共有玄関で繋ぐプランです。
福島