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江戸川区K邸-4(配筋検査)

江戸川区K邸の配筋検査をしました。

上から見たスラブ配筋

上から見たスラブ配筋

配筋検査とは‘鉄筋コンクリート造の鉄筋が設計図通りに配置されているか’などをコンクリート打設前にチェックする作業です。一般的な木造住宅の基礎は鉄筋コンクリート造の事が多く、家を建てるときには必ずと言っていいほど配筋検査をします。配筋検査をするのは建築家(私)と構造家です。とても丁寧に仕事を進める現場監督さんなので、手直しなどの指摘をする事も無く検査は終わりました。

基礎配筋全景

基礎配筋全景

写真の水色に立上った壁のようなものは基礎の断熱材です。K邸の基礎は外断熱です。一般的には、木造住宅の基礎を外断熱にする必要はありません。一階の床下に外気が流れるようにして、床の裏面に断熱材を入れる方法が多くみられます。一階の床下は屋外環境と同じだとみなして、一階の床から上が室内環境だという考え方にもとづいた方法です。K邸の基礎をこのような一般的な方法にしないのは、一階の床下空間をつくらないためです。床下空間がないので、一般的な断熱方法には出来なくなります。では何故、床下空間をつくらなかったのか?お施主さんがこれから年齢を重ねるに当たり、玄関やリビングのはき出し窓と外部の間に段差を設け無い事で、杖や車いすでも家への出入りが楽にできるバリアフリーに配慮した家とするためです。床下空間をつくらないと、基礎のコンクリートが室内空間に面する事になります。鉄筋コンクリート造は外気温の影響を受けやすいものです。K邸のように基礎が室内に面していると、例えば基礎の外側が冷やされると基礎の内側まで冷たくなって、建物の中の温度を落としたり内壁に結露をおこしたりします。そういった事が無いように、基礎に外気の影響が少なくなる外断熱にしています。

一般的な基礎とK邸の基礎

一般的な基礎とK邸の基礎

きちんと設計して、きちんと監理して、しっかりとした配筋が出来たので、良い基礎工事になると思います。

福島

H邸リフォーム現場-9(ポーチ床に陶器を埋め込み)

H邸の玄関ポーチ床のコンクリートに、先日準備した陶器のかけらを埋め込みます。

※先日、食器を割ってデザインを決めました→前回のブログ

コンクリートを打設し、少し固まってきたところ。

コンクリートを打設し、少し固まってきたところ。

以前の玄関ポーチは何段かの段差がありましたが、将来車椅子を使う事になっても楽に玄関まで行けるように新しくスロープを設置しました。ベビーカーやキャリーケースを運ぶ時にも便利になります。陶器のかけらは、タイヤ等が引っ掛かることがないようにスロープ部分はさけて、平らな部分だけに埋め込みます。

まずは外枠から並べて、それから内側を埋めていきます。

まずは外枠から並べて、それから内側を埋めていきます。

埋め込み作業は、設計担当者の遠山が行いました。お施主様の奥様も手伝ってくださって、二人で手早く並べていきます。作業の時は気温が高めで、コンクリートの乾きも早いようでした。コンクリートの固まり具合によって、かけらを載せると沈み込んでしまったり、逆にあまり埋まらなかったりします。埋め込むタイミングが難しいです。手で押してもあまり埋まらない部分は、金コテなどで上から軽く叩くと、うまく埋め込むことができました。

並べ終わったところ。コンクリートは乾きはじめています。

並べ終わったところ。コンクリートは乾きはじめています。

かけらを並べた後は職人さんに、平らな部分を金ゴテでならしてかけらの表面のコンクリートを刷毛で拭き取ってもらいました。

青と白の陶器だけでまとめたので、繊細な色合いになりました。後日、コンクリートが固まってから仕上がりを確認するのが楽しみです。

遠山

 

H邸リフォーム現場-8(陶器のかけら割り)

H邸の玄関ポーチのコンクリート床に、お施主様のアイデアで陶器のかけらを埋め込むことになりました。

玄関土間やポーチの床に、小石やビー玉などを埋め込んだ例は時々見かけます。お施主様は雑誌で見たそのような例からヒントを得て、陶器を割って床に埋め込むことを思いついたそうです。

骨董品屋さんを営むお施主様は、素敵なアンティーク食器をたくさんお持ちです。その中から、もう使われていなかったものがいくつか用意されていました。食器は赤系や緑系など、いろいろな色のものをお持ちなのですが、色数を絞った方が落ち着いた印象できれいになりそうなので、青系だけでまとめました。

これらの素敵な食器が、新たな姿で家を彩ります。

これらの素敵な食器が、新たな姿で家を彩ります。

 

飛び散らないように箱に入れて、布を被せます。

飛び散らないように箱に入れて、布を被せます。

様子を見ながら少しずつ割っていきます。程よい大きさに割るのは意外と難しいです。

様子を見ながら少しずつ割っていきます。程よい大きさに割るのは意外と難しいです。

並べてデザインを検討します。かけらを全体に散らしたパターン。

並べてデザインを検討します。かけらを全体に散らしたパターン。

こちらは水玉模様。かわいらしい印象。

こちらは水玉模様。かわいらしい印象。

道を作るようなイメージ。丸い小皿だけは割らないで埋めることにしました。

道を作るようなイメージ。丸い小皿だけは割らないで埋めることにしました。

かけらのひとつひとつが少し尖った形なので、全体にかけらを散らすよりはある程度まとめたほうがきれいに見えます。お施主さんとも相談した結果、最後の写真にある道を作るようなパターンで埋め込むことに決まりました。

後日、コンクリート打設のタイミングに合わせて、準備したかけらを埋め込みます。

遠山

 

 

 

 

 

H邸リフォーム現場-7(アイランドキッチン設置)

H邸のアイランドキッチンが設置されました。

白いモザイクタイル貼りのキッチン本体に、ケヤキ一枚板のダイニングテーブルを組み合わせて一体にした形になる予定です。家具屋さんがキッチンを床に固定し、そこにダイニングテーブルを取付けしました。キッチン製作・取付けは高見創作室さんです。モザイクタイルは後日貼られます。

設置の様子をコマ撮り動画で記録してみました。

ダイニングテーブルのケヤキ一枚板の裏面には、材木屋さんに反り止めを入れてもらいました。無垢板の存在感は魅力的ですが、人工的に温度や湿度がコントロールされる室内では、時間が経つと反ることがあります。材がしっかりと乾燥されていれば反りは少なく、このケヤキも乾燥は十分なのですが、板をL字型に加工していることもあり、念のために反り止めを入れています。またキッチン本体にしっかりと緊結することでも反りを抑えるようにしています。重厚感のある一枚板に、脚を片側にしか付けず、キッチンが支える方を浮いたように見せたことがデザインのポイントです。

キッチンの造りは見えない部分までとてもしっかりとしていて、上等な箪笥のようです。IHヒーターの下の引出しは、家具屋さんがこれまで造った中で一番大きいそうですが、精度が良いので引出しの動きは滑らかです。面材のアメリカンチェリーの木目もとてもきれいでした。仕上げのオイル塗装をすると、さらに色が深くなります。

これからモザイクタイルを貼り、設備などを取付けます。完成が待ち遠しいです。

遠山

引出しなども全て一から造っています。贅沢な造りです。

引出しなども全て一から造っています。贅沢な造りです。

引出しの面材は、アメリカンチェリー板目です。きれいな木目が表れています。

引出しの面材は、アメリカンチェリー板目です。きれいな木目が表れています。

設置完了。IHヒーターとホーローシンクを後で取付けし、タイルが貼られます。

設置完了。IHヒーターとホーローシンクを後で取付けし、タイルが貼られます。

キッチンにテーブルがかみ合わさった形にしています。

キッチンにテーブルがかみ合わさった形にしています。

H邸リフォーム現場-6(古材の飾り柱・梁)

H邸のリビング・ダイニングに、古材を使った飾り柱・飾り梁が設置されました。

この柱・梁によるフレームはリビング、ダイニング、デスクスペース、通路を緩やかに区切る役割を果たしています。これがあるだけで、向こう側は見えていながら空間にメリハリをつけることができます。

また古材の質感が、インテリアの大事なアクセントになります。

新しい木材と違って歪んでいたり、所々に穴や傷があったりして加工は大変だったと思いますが、とてもきれいに取付けられていました。職人さんの腕の良さが、仕上がりを見るとわかります。

年月を経て自然に深くなった木の色や、醸し出す風合いで、部屋の雰囲気に一気に深みが出た感じがします。

遠山

斜めの飾り筋交いで変化をつけています。

斜めの飾り筋交いで変化をつけています。

古材の艶や色合いは迫力があります。

古材の艶や色合いは迫力があります。

H邸リフォーム現場-5(左官壁塗り)

H邸リビング・ダイニング・キッチンの壁と天井は左官仕上げです。職人さんがコテを使って壁を塗っていきます。今回はダイアトーマスという材料を使います。

塗りパターンをどのようにするか、塗る前に試し塗りをしてもらいました。

あまり凹凸が強すぎず、さっぱりした感じにして欲しいと伝えたところ、職人さんは少しだけ波打つようなパターンを見せてくれました。良い雰囲気だったので、お施主様にも確認していただき、そのパターンで進めてもらうことになりました。

壁下地の凸凹をパテ処理で平らにします。これから塗っていきます。

壁下地の凸凹をパテ処理で平らにします。これから塗っていきます。

色は真っ白ではなく、淡いピンクベージュのような色味です。 パテ(ビス跡などの凹凸を埋める材料)が真っ白なので、比べると違いがわかります。

色は真っ白ではなく、淡いピンクベージュのような色味です。
パテ(ビス跡などの凹凸を埋める材料)が真っ白なので、比べると違いがわかります。

H邸のインテリアは、古材やアンティーク家具、和風の障子や葦戸などを組み合わせます。この左官壁の色合いと質感が、全体の雰囲気をまとめながら盛り上げてくれるのではと思います。

 

遠山

 

江戸川区K邸-3(地盤改良)

江戸川区K邸の地盤改良工事です。少し気になる事があったので、工事完了まで立ち会う事にしました。

IMG_1173

もともと木造三階建て住宅が建っていた敷地です。この既存建物の工事をした25年前にも地盤調査をしています。当時の調査資料によると、地盤はそれほど良くありません。そのため、もともとあった建物を解体したら、基礎の下に‘杭’か‘地盤改良の跡’が出てくると予想していました。もとの建物の杭など出てきたら、地盤状況を安定させる工事が難易度の高いものになります。「さて、どうしたものか」と、少し緊張しながら解体工事の最終段階に立ち会いました。結果はちょっと意外で、基礎下にまともな杭も地盤改良跡もありませんでした。もともとあった建物は、きちんと支えられていなかったわけです。お施主さんが「もとの建物の外壁にひびが入ったので、外壁補修工事をした。」と仰っていたので、きちんと地盤が安定していなかった影響はあったと考えられます。

IMG_1339

新しい家をきちんとしたものにするため、あらためて地盤調査をしました。その結果を踏まえて、セメントによる柱を地中に作る‘柱状改良’という地盤改良をすることになりました。しっかりした地盤まで届くように数十本の柱を地中にたてて、新しい家を支えます。それなりの大きさの重機が入るので、狭小地では難しい工事になります。職人さんが手慣れた仕事ぶりで段取り良く進めているので、そうは見えないかもしれませんが。

IMG_1356

地盤改良工事にあたり気になっていたのは、敷地に‘井戸の跡のように見える部分’や‘もとの家が建つ前から埋まっていた浄化槽の撤去跡’などがあり、そこにも予定通りの‘柱状改良’が出来るかどうかという点でした。結局もろもろ問題は無く、無事に工事は予定通り進みました。余談ですが、笑顔が素敵なとても礼儀正しい職人さんたちでした。

江戸川区K邸-2(地鎮祭)

今日は江戸川区K邸の地鎮祭でした。春らしい陽射しに恵まれて、とても気持ちの良い地鎮祭です。お施主さん、工事を担当する山庄建設さん、私たちで、「良い家にしましょう。」とあらためて気持ちを一つにする良い機会になりました。

江戸川区K邸地鎮祭

江戸川区K邸は、狭小地に建つ三階建て住宅を二階建て住宅に建て替える計画です。ご夫婦二人でくらす家になります。計画を検討する初めの段階で、「これから夫婦で年齢を重ねていくにつれ、広い家を維持するのは大変になるだろう。」と考えました。そこで、小さくて単純明快な使い勝手とする事で、維持がしやすくて暮らしやすい家になるようにしました。

模型(内観)

模型(内観)

もとのお住まいにお邪魔して最初の打合せをしたとき、暮らしの中に好みのデザインの方向性があるように感じたので、そこも大切にしたいと思いました。しっくりくるデザインに囲まれると、気持ち良く生活できるものです。K邸のデザインは、そこはかとなくロマンチックな雰囲気を感じられるものにしたいとも思いました。

模型(外観)

模型(外観)

検討の初期の段階でイメージがまとまった感じです。そのイメージ通りになれば、とても良い家になると思います。これからの現場監理もていねいに頑張っていこうと思います。

福島

H邸リフォーム現場-4(家具の作業場へ)

オーダー家具に使う材料を届けるため、お施主さんと一緒に、厚木にある家具屋さんの作業場に行きました。

お施主さんは、一般的には業者さんの作業場に行く機会はほぼありません。

ちょうど製作をお願いしているアイランドキッチンが作業場の真ん中に置かれていて、それを見つけたお施主さんは興味深く観察されていました。製作途中の状態を見られるのは、期待が膨らんでとても楽しいものです。

 

今回のキッチンは、白いモザイクタイル仕上げにホーローのシンクの予定です。IHヒーターと作業スペースの下は引出収納にして、シンク下はオープンなゴミ箱スペースにしています。シンク下は湿気が多いので、収納でふさいでしまうより開放したほうがおすすめです。それと、ゴミ箱を置く場所は目立たず、しかもシンクから近い場所がベストなので、シンク下が最適です。様々なこだわりを自由に盛り込めるのがオーダーキッチンの魅力です。

 

遠山

製作中のアイランドキッチン

製作中のアイランドキッチン

 

H邸リフォーム現場-3(材木店へ)

リフォームに使う材木を見るため、お施主さんと静岡の材木屋さんに行ってきました。

三島にある「谷田木材」さんです。

数年前に網代で仕事をしたときに紹介してもらった材木屋さんで、樹種や大きさ、厚さがいろいろな一枚板が豊富に揃っています。お店もかなり広く、宝探しの気分になります。

 

今回は、ダイニングテーブルに使うケヤキの一枚板を見せてもらいました。

自然素材のため、割れや穴があったり、使っているうちに乾燥収縮で反ったりもしますが、木の持つ雰囲気や手ざわりはとても魅力があります。

見つかったのは、幅820mm、厚さ80mmのケヤキ板です。お手持ちの骨董とも合うような、重厚なダイニングテーブルができそうです。

 

遠山

 

様々な一枚板が沢山。建物も風通しがよく、木が良く乾燥してくれそうです

様々な一枚板が沢山。建物も風通しがよく、木が良く乾燥してくれそうです

蝶々の形をした千切り(チギリ)の見本。板の割れた部分等の補強に取付けます

蝶々の形をした千切り(チギリ)の見本。板の割れた部分等の補強に取付けます

板にチョークで書き込み、使う部分を検討中。オイルを塗装した時の色味を確認するため、真ん中を水で濡らしています

板にチョークで書込み、使う部分を検討中。オイルを塗装した時の色味を確認するため、真ん中を水で濡らしています